こんにちは!スタッフのKです。

CSアンプラグドとは?

 前回の記事で、プログラミングが受け入られない理由のひとつとして、子どもの成長過程に及ぼす悪影響を挙げました。確かに、パソコンやスマホから出ているブルーライトを長時間浴び続けるのは目にはよくありません。また、長時間操作することにより体の姿勢が悪くなることも考えられるため、子どもの頃からプログラミングを学習させることに対して抵抗があるのではないでしょうか。

 こうした問題点から考えられた教育法のひとつとして「コンピュータサイエンスアンプラグド(Computer Science Unplugged、以下CSアンプラグド)」があります。端的に言えば、CSアンプラグドとは、コンピュータを使わずにプログラミング教育を行うことです。つまり、今まで行われてきた「単に画面上で操作するだけの教育」ではなく「実際に体で体験する教育」であると言えます。ただし、ここでのプログラミング教育とは、プログラミングの手法を教育することではなく、その軸となる思考法や原理を教育することですので、ご留意ください。

「点を数える」

 具体的な例を挙げてみましょう。「点を数える」という教材では、1、2、4、8、16の数字がオモテ面に書かれた5枚のカードを用意し、それを5人の子どもに1枚ずつ持たせてその数を合計して数字を作り出すゲームを実施します。

 例えば、9の数字を作りたい場合、8のカードと1のカードを持った子どもがカードをオモテにして提示します。このようにして、作りたい数字を自分たちで考えて作っていきます。5枚の異なるカードを使うことで最大32通りの数を作り出すことができます。(2×2×2×2×2=32)つまり、カードは表と裏(0と1)の2つ数字の組み合わせだけで0から31までの数を表現できることがわかります。これは、2進数の仕組みを体験しながら学ぶための教材でコンピュータを使わずに仕組みを理解することができます。また、教科書を読んで覚えるのではなく、ゲーム感覚で体験しながら覚えるため、頭にも残りやすくなります。
小学生の「プログラミング教育」その前に より引用

「いちばん軽いといちばん重い」

 この教材では、大きさは同じですが重さが異なるおもりを8個用意し、天秤ばかりを使って、軽い順に整列させていくゲームです。ただ並べればよいのではなく、いかに少ない回数で迅速に処理できるかがポイントになります。やり方は一切教えずに、子どもたちだけで考えて調べることが重要です。コンピュータ上では順序がバラバラなものを並び替える際に、2つずつ比較することにより整列(ソート)しており、原理的にはこの教材と同じ方法をとっていることがわかります。普段、何も考えずにコンピュータを使っている子どもたちにとって、このような仕組みを知ることは大きな知的好奇心になるのではないでしょうか。

アンプラグドとプラグドのバランスが重要!

 このように、CSアンプラグドでは、コンピュータを使わずにプログラミングの基本を学習することができるため、今後、多くの学校現場で導入することが予想されます。しかし、実際にプログラミングを行うのはあくまでコンピュータ上であり、CSアンプラグドだけで仕組みを完全に理解したとは言えません。教える側としては、CSアンプラグドで学習する内容がコンピュータのどのような仕組みにあたるのかを説明し、実際にそれを操作させることが不可欠です。

 したがって、これからのプログラミング教育ではアンプラグドな教材とプラグドな教材の両方をバランスよく学習するプログラミング教育が必要ではないでしょうか。弊社でもこのような取り組みを参考にしながら、お子様にとってよりよいプログラミング教育を行って参りたいと考えております。

参照 コンピュータアンプラグド http://www.csunplugged.jp/