こんにちは!スタッフKです。

 今回のテーマは人工知能の研究者であるオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が書いた「雇用の未来」という論文についてのご紹介です。この論文は、米国にある約700の職業を創造性、社会性、知覚、精密性などの観点から、各職業が10年後に消える確率を分析したものとして、数年前に取り上げられました。

人間の脅威となりうる人工知能の存在

 この論文では、人工知能がこのまま進歩し続けることにより、10~20年後、現在人間が担っている仕事の多くが消滅してしまうといった驚きの研究結果があります。例えば、銀行の融資担当者、スポーツの審判、レストランの案内係、電話オペレーター、塗装工など、実に半数近くの職業が消えるといった予測が行われています。

 また、オズボーン准教授はこのような予測を踏まえ、人間は創造性を要する仕事に専念し、事務的な仕事はすべて機械に任せる働き方に変容していくことを示唆しました。確かに、銀行の融資は人工知能にあらかじめ査定基準を詳細にプログラミングできれば、実現性も高そうですし、スポーツの審判も人工知能が担えば、人間の目ではわかりにくい場面を正確に判定することが期待できそうです。すなわち、これらの職業が人工知能に奪われ、将来なくなる可能性が特に高いと言われるのは自然な現象と言わざるを得ないのかもしれません。

人間の働き方が変わる?

 この論文では、人工知能が人間にとって脅威となるといった悲観的な論調が伺えますが、一方で、以前にご紹介したマッキンゼーの調査のように楽観的な見方もあります。上記の職業は確かに、人工知能が担える可能性が高いものばかりですが、人間による確認も同時に必要ではないでしょうか。銀行の融資では、責任能力のない人工知能が不具合を起こしてしまうと会社に大きな損害を与えかねないため、人間の監査が常に必要になることでしょう。スポーツの審判においても、種目によっては人工知能が不向きな場合もあることでしょう。人間が審判を担うからこそスポーツが盛り上がるといった側面も考慮しなければなりません。

 このように、今までは人間主体で行った仕事を機械が緻密に確認するのが通常でしたが、これからは人工知能主体で行った仕事を人間が確認する働き方に変わることも考えられます。したがって、人間が担っている職業が丸ごと人工知能に奪われるのではなく、人間と人工知能の役割が再定義されることで仕事の効率が最適化されるのではないでしょうか。

予測できない社会へ!

 また、Googleの創業者である、ラリー・ペイジ氏も「近い将来には、10人中9人が今とは同じ仕事はしていないだろう。」と述べており、良くも悪くもこのような現実は避けることができないと言われています。そのため、職業選択に対する意識も年々変容しており、予測できない未来に対する備えが必要であることが言われています。プログラミング学習が近年盛り上がりを見せているのには、こうした背景があり、ゼロからイチを生み出せる人たちこそが、どんな時代の変化にもフレキシブルに対応しながら、社会で活躍していく人材になると考えられるからではないでしょうか。

参照: http://eco-notes.com/?p=649