「キャズム」理論で見る子供向けプログラミング教室

 最近、民間のプログラミング教室もテレビや雑誌で特集されるようになり、かなり知名度も上がってきました。とはいえ、その必要性を理解し実際に子供にもプログラミングを学ばせてみたいと思うご家庭はまだまだ少数ではないかと思います。私が学生時代にも学んだ普及学では有名な「キャズム」理論では、イノベーション(革新的なサービス・商品)が、どのように人々の間に浸透していくか、顧客を下記の5つのタイプに分類し説明したものです。それによると、初期採用者である「イノベーター」とそれに続く「アーリーアダプター」を併せた約16%位の人々に浸透した段階で、それに続く「アーリー・マジョリティ」「レイト・マジョリティ」といった、多数派の人々に一気に浸透していくということです。

 これを民間の小学生をターゲットとしたプログラミング教室に当てはめてみると「イノベーター」は超えましたが現在「アーリーアダプター」のあたりにあり16%キャズム(溝)は超えていないように思えます。あくまでも実感ですが、今はまだ新しいものに興味があり積極的にそれを好んで取り入れるというご家庭の間で、プログラミング教育が浸透しているのだと感じます。ただ私たちのプログラミング教室もこの「イノベーター」「アーリーアダプター」の2つの16%の顧客層を想定した運営を行っております。


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参考記事:情報システム用語事典:キャズム(きゃずむ)*アーリーアダプターと、アーリーマジョリティの間にあるとされているのが、「キャズム(溝)」多くの新製品・サービスはこのキャズムを超えることなく忘れ去られていく。
http://www.itmedia.co.jp/im/articles/0706/01/news142.html

 そして「アーリーマジョリティ」や「レイトマジョリティ」の多数派の顧客は、実利主義者とも呼ばれ普及初期に伴うトライアンドエラーや混乱のリスクを避けようとするため、まずは「イノベーター」「アーリー・アダプター」の動向を見ながらその新サービスの導入を決定していきます。そしてラガード層は切迫した必要に迫られるまで新サービスの採用は行わないのが特徴です。

 例えばスマホを例に取ると誰よりも最初のタイミングで購入する「イノベーター」そして専門雑誌等で取り上げられるようになり、購入するのが「アーリーアダプター」そしてテレビや雑誌で特集されたりするようになり、購入する「アーリーマジョリティ」、周りの多くの知人たちが持っているのを見て購入する「レイト・マジョリティ」そして最後までガラケー(携帯電話)で粘っていたけど、ついにお気に入りのガラケーが生産中止となったところでやむなくスマホを購入する層が最後の16%である「ラガード」といった感じです。

プログラミンング教室の今後

 ではそれをプログラミング教育に当てはめて考えてみます。キャズムを超えるのは確定的だと思いますが、今後プログラミング教育が普及していくにはどのようなシナリオが考えられるでしょうか。私は小学校における必修化、そして正式教科化や私立中学の受験科目への採用により一気に加速するのではないかと考えます。

 プログラミングは先日、2020年から小学校における必修化が決定しました。そのため2020年頃にはキャズムを超えて「アーリー・マジョリティ」の領域に突入していくのではないでしょうか。また、それに伴い一部の中学校の受験科目としての採用がはじまり、更に必修科目からコンピューター・サイエンスとしての正式教科化などが行われれば「レイト・マジョリティ」「ラガード」の領域にも突入していくものと思います。

 プログラミング教室より先に普及した英語教室ですが、英語自体は現在小学校5,6年生では必修となっており、既に多くの中学校でも受験科目として採用されており2020年からは英語が正式教科になるということです。今では街中にでは至る所に英語の塾を見かけることができ、少なくとも「レイトマジョリティ」・「ラガード」と言った後期採用者の領域にも突入しています。ただ、英語がここまで来るのには数十年の年月を要しました。一方プログラミング教育に関してははまだ出てきてから数年です。それなのに必修科目化まで決定するとは世の中の動きは加速していると感じます。その激しい変化の時代の中を、きちんと理論的に自分の頭でモノを考える能力、それがプログラミングで養えると私たちは信じております。では具体的にそれはどのようなことか、ということに関しては後日また詳しく触れたいと思います。